今日は競馬初心者の後輩から受けた何気ない質問をもとに記事を書いてみます。
その質問とは「過去に今回のレースと同じ距離で好成績を収めている馬は買いでいいですか?」というものです。
確かに距離実績は予想をする上で貴重な材料の1つになりえそうです。
過去に同じ距離で好成績を収めていれば今回好走する可能性は高そうですし、逆に散々な成績であれば今回も期待できないような気もします。
「ここ数戦は合わない距離でのレースだったので凡走が続いたが、本来得意なこの距離でのレースなら今走は期待できる」なんてコメントを見たらそれらしく思えてしまいます。
しかし、私の回答は「それだけの理由では儲からないから買わない方がいいよ」でした。
その理由についてデータを元に説明していきます。
過去の同距離の成績と今回の成績の関係
ここでは例として、1200m戦を取り上げてみます。
今走が1200mのレースについて、過去の1200m戦の成績によって勝率や回収率がどう変わるかを見てみます。
対象データは2016年8月~2021年7月の障害を除く全レースで、いつものように単勝2~7番人気に絞ります。
単勝2~7番人気に絞る理由については以下の記事をご覧ください。
過去の1200m戦の成績としてここでは複勝率を用い、1200mを1回も経験したことのない馬は除きます。
結果は以下の通りです。

まずは勝率や複勝率に目を向けると、過去の1200m戦の複勝率が低い馬は今回の勝率や複勝率も低く、過去の複勝率が高い馬は勝率や複勝率も高いように見え、これだけ見ると「過去の同距離での実績が良い馬の方が成績がよい」と思ってしまいそうです。
しかし、回収率の方に目を向けてみると、過去の複勝率が低いほど今回の回収率は高く、過去の複勝率が高いほど今回の回収率は低くなっていることがわかると思います。
例えば上の結果をさらに過去複勝率20%以下、80%未満で集計するとその差がよくわかります。

さて、この結果はたまたま1200mだけで起こっている現象なのではないか、と思う人もいるかもしれないので、もう1つ2000m戦のデータも載せておきます。
2000m戦を戦ったことのある馬の過去複勝率ごとに、今走2000m戦の成績を集計しました。
(その他の条件は先ほどと同じです)

過去複勝率90%台はサンプル数が極端に少ないので考慮外とすると、先ほどと同様に過去複勝率が高い馬ほど勝率や複勝率は高いが回収率は低い、というような結果になっているのがわかると思います。
同様に20%未満と80%以上で集計すると以下の通りです。

このように勝率や複勝率は高いけど回収率は低いという条件は、織り込み済みどころか過剰評価されてしまっている可能性が高いわけですが、よく当たるので利用したくなる分やっかいですよね。
これを私がどう予想に活かしているのかについては細かくは述べませんが、少なくとも「過去に同じ距離を好走しているから買う」ということが危険な考えだということはわかってもらえたのではないでしょうか。
いずれにせよ「この買い方なら儲かるのでは?」と思ったら、少なくとも「過去にそれで儲かったのか」ということは調べてから実践した方がよさそうです。

以上、今日は過去実績について1つの事例を紹介しました。
もちろん過去実績が良い馬はすべて買うに値しないというわけではなく、人が気づいていないような実績であればむしろプラスにつながる可能性も十分にあるということは最後にお伝えしておきます。
過去のおススメ記事はこちら。