前回はキャリア(出走回数)と回収率の関係を見ました。
キャリア1戦馬の複勝回収率が低く、26戦以上の馬の成績が悪いことが確認できましたね。
しかし私は、キャリアを見るにあたっては馬齢ごとに分けて考えることが重要だと考えています。
なぜなら、例えば同じキャリア5戦でも、2歳で使い詰められているのと3歳で間隔を開けて使われているのでは、まったく意味が違いますからね。
そこで馬齢別にキャリア(出走回数)と回収率の関係を見てみることにします。
2・3歳馬のキャリア別成績
2歳馬のキャリア別成績
まずは、2歳馬です。
2歳馬の成績をキャリア別に見ると、以下の通りでした。
(2016年4月~2021年3月の障害を除く全レース 単勝2~7番人気の2歳馬のみ)
2歳馬についてはキャリア2~4戦の回収率が高く、5戦のみ低くなっています。
上の表は各馬ごとの出走回数という縦の比較でしたが、次に「他の出走馬と比べてキャリアが多いか少ないか」という横の比較で見てみたいと思います。
具体的には「各レースにおける出走馬のキャリアの平均」を計算し、その平均と比べて各馬のキャリアが多いか少ないかを見てみます。
さっそくですが、下の集計結果をご覧ください。
この表は各レースの平均キャリアと各馬のキャリアとの差を集計したものです。
マイナス4というのはそのレースのキャリア平均よりも自身のキャリアが4レース少ないということ、プラス5であれば平均よりも5回多いことになります。
件数が極端に少ないところは無視して考えると、どうも平均との差が0の場合以外は回収率が良くないような印象受けます。
そこで上の表を集計して、キャリアが平均よりも多いか少ないかという視点だけで見てみました。
こうしてみると各馬のキャリアがレース平均と同じである場合に単勝回収率が高いことがわかります。
これは2歳時で順当にレースを消化していれば、同時期の出走馬とはレース経験数は一致することが多いはずだと考えれば納得がいきそうです。
使い詰めていればキャリアは多くなりますし、逆にデビューが遅かったり休養が多いような場合にはキャリアが少なくなります。
この結果から、平均キャリアと一致する2歳馬はブラス評価としたいと思います。
3歳馬のキャリア別成績
続いて3歳馬です。
まず3歳馬のキャリア(出走回数)別の成績は以下の通りでした。
(2016年4月~2021年3月の障害を除く全レース 単勝2~7番人気の3歳馬のみ)
3歳馬に関してはキャリアによって大きな成績の差はないようです。
キャリア1戦以下馬の複勝回収率が低い点は全体の傾向と一致しますが、これだけでマイナス評価するほどでもありません。
次に、2歳馬と同様に「平均キャリアとの差」について確認してみます。
ただ、3歳も後半になるとキャリアもかなりばらけてしまうので、ここでは「平均キャリアが5戦以下のレース」と縛りをつけてみました。
結果は以下の通りです。
(2016年4月~2021年3月の障害を除く平均キャリア5戦以下のレース 単勝2~7番人気の3歳馬のみ)
平均から離れるほど件数が少なくなるものの、平均との差がプラスに大きい場合に回収率が高い箇所が多くなっています。
これは、キャリアが少なくて成績にそれほど傷がついていない馬よりも、キャリアが多くて馬柱が汚いような馬の方が過小評価されやすいことを考えれば納得がいきます。
上の結果を元に、平均との差4以上について集計したところ以下の通りになりました。
よって、平均との差が4以上の馬についてはプラス評価とします。
以上、今回は2歳、3歳の馬についてキャリア(出走回数)別の回収率を調べ、以下の評価としています。
- 2歳馬はレース出走馬の平均キャリアと自身のキャリアが一致する場合、プラス評価
- 3歳馬は平均キャリア5戦以下のレースついて、平均との差が+4以上の場合、プラス評価
次回は、4歳以上の馬について同様にキャリア別の成績を検証します。
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